初代理事長田淵昭雄先生のAPAO Award受賞のお知らせ

 本学会初代理事長の田淵昭雄先生(川崎医科大学・川崎医療福祉大学名誉教授)が、第31回アジア太平洋眼科学会総会(APAO)でOutstanding Service in Prevention of Blindness Awar(失明予防における顕著なサービス賞)を受賞されることが、決定しました。
 授賞式は2016年3月25日です。

 田淵昭雄先生より、受賞についてお言葉を頂きましたので、ご紹介いたします。
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「Outstanding Service in Prevention of Blindness Award at the 31st APAO Congress 」の受賞
(第31回アジア太平洋眼科学会総会(APAO)での「失明予防における顕著なサービス賞」)
                    川崎医科大学・川崎医療福祉大学名誉教授
                                  田淵 昭雄
 タイトルにある国際学会のAwardを私が受賞することになりました。これは私個人にと言うよりも日本ロービジョン学会にとっても名誉なことと考えますので、その経緯と意義を簡単に述べます。
 去る7月10日に日本眼科学会事務局の安間雅代氏から、「来年3月24日~27日に台湾(台北)で開催される第31回APAOにおいて授与されるAPAO Award の各種メダル等の候補者推薦依頼が届いた。日眼常務理事会(以下、日眼)はその中の「Outstanding Service in Prevention of Blindness Award」の候補者に田淵先生を推薦したい。推薦を受ける場合は、Nomination Form のNominee の箇所と簡単な推薦文(英語で600ワード以内)を先生ご自身で作成し、7月31日までに送ってほしい。」と言う旨の連絡がありました。私はこれまでAPAOには演題発表で何度か参加していますが、まさか、賞の候補者になることを「夢にも思っていない」と言う気持ちでした。
 「Outstanding Service in Prevention of Blindness Award」とは、10種類のAPAO Awardsの10番目に紹介されているもので、失明予防において地域(私の場合は日本)での顕著な働きに対する賞のようです。日眼が日本の候補者として私を推薦したという名誉な話でありますが。Awardに応募する推薦書は自己推薦で、登録費だけは無料、交通費と宿泊費は自己負担という厳しい条件でした。しかし、私はこの賞は「日本における視覚障害者のリハビリテーション」での活動に対するものと理解し、喜んで応募することにした訳です。
 日眼の推薦の形で自分の事を書くのは面はゆいものでしたが、候補だけでAPAOの理事会で選抜されなければ何もなりませんので精一杯自己推薦しました。それを解説しますと、何といっても私が2000年、日本ロービジョン学会を立ち上げたkey personの一人であったことが日眼の推薦になった主な理由であると思います。当時、視覚障害(児)者のリハビリテーションに尽力されていた眼科医は決して少なくなく、各々が全国各地であまり横の繋がりがなく活躍していました。しかし、タイミングよく2000年の第104回日眼学術総会の会長をされた本田孔士京大眼科教授の要請もあって、「視覚障害(児)者のリハビリテーションの学術研究を志向する学会」を立ち上げようという機運が高まりました。この領域で活動していた現役の眼科教授は私一人であったため、私が音頭をとって全国の関係する眼科医や関連団体と共に日本ロービジョン学会創設に奔走しました。そして、2000年4月に日本ロービジョン学会の発足および第1回同学会学術総会が京都会館で開催され、私が学会の初代理事長に就任すると共に学術総会の会長も務めました。その後、学会は順調に発展して私は10年間の初代理事長の大役を辞し、2代目が髙橋広先生(北九州市総合療育センター)、そして現在の3代目として加藤聡先生(東大眼科)に引き継がれています。本会の特徴は他の眼科専門学会とことなり、眼科医がリーダーシップをとりながら視能訓練士、看護師、心理学者、自然科学者、各種療法士、教育者、福祉行政関係者、その他の多くの職種の会員が一堂に集まってリハビリテーション・ハビリテーションの学際的研究を行うことにあります。視覚障害者(児)を最初に診断・治療しかつ予後を推定できる眼科医の役割は重要であることを、私の眼科医としての過去の経験を通して強調しました。
 以上が推薦文の要旨ですが、本賞は私を含めた日本ロービジョン学会の発展に尽くされたすべての方々への賞でもあります。応募から約4か月も経った2015年12月23日にAPAO事務局から受賞決定の連絡があり、授賞式は2016年3月25日のGala Dinner の席上で行われる予定です。皆様の代表として出席することを喜んでいます。