理事長挨拶

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 日本ロービジョン学会は2000年4月に創設され、2019年4月現在、約900名の会員が活躍しています。本学会は我が国の視覚に障害を有する患者さんへのロービジョンケアに関する研究および臨床の向上を目的としています。会員には眼科医、視能訓練士、看護師などの医療関係者や教育、福祉、労働、ロービジョン関連機器に携わる企業関係者など、様々な職種の方がおります。
 ロービジョンの患者さんは、病気の種類とステージにより日常生活の不自由さが異なります。現在は残存する視覚の評価と、それに対して見やすい条件を作る視覚補助具の処方の研究・臨床が中心ですが、今後は失われた視覚を回復させる人工網膜、遺伝子治療、再生医療の発展が期待され、新しく獲得された視覚を日常生活に役立てるための視覚リハビリテーションの研究が必要になります。
 眼科の臨床の現場では、緑内障、糖尿病網膜症、網膜変性、角膜疾患、視神経疾患などの各分野の治療法の開発が進んでいますが、その延長上にあるロービジョンケアを行っている施設はまだ十分ではありません。また、視覚障害の患者さんが近くの眼科診療所を受診した場合、各診療所でできるロービジョンケアを実施し、それで足りない場合は専門施設との連携が必要となります。眼科でのロービジョンケアに際し、看護師、視能訓練士の役割は大きく、その協力なしには眼科でのロービジョンケアは成り立ちません。その点から、医療関係者へのロービジョンケアの普及が学会としての重要課題であることは間違いありません。
 その一方、ロービジョンケアに関連する研究は、教育、福祉、労働、ロービジョン機器に携わる企業関係者の研究者により盛んに行われており、これらの異分野での研究成果を統合し、眼科臨床の場に還元することが最終的にロービジョン患者さんの福音になることも間違いないことです。日本ロービジョン学会では教育、福祉、労働、ロービジョン機器に携わる企業の研究者と医療関係者が協力して、学会がロービジョンケアの普及と世界に発信できる研究の場となるようにできればと考えています。

令和元年5月1日

日本ロービジョン学会理事長 大阪大学大学院・生命機能研究科 不二門 尚