東日本大震災関係情報
日本盲人福祉委員会 震災対策本部より

(2011年8月24日掲載)

新たに始まった本格的な視覚障害者の震災支援の取り組み

日本盲人福祉委員会 東日本大震災視覚障害者支援対策本部

1.経過
(1) 4月の視覚障害者の調査結果
日盲委の組織を生かして、岩手・宮城・福島3県の視覚障害者協会会員、 点字図書館利用者、盲学校同窓会名簿のうち、津波被害の沿岸部の 抽出リストを作成し、まずは各団体からの電話確認を行い、連絡の 取れない方々を訪問して回りました。その結果は次のとおりです。

 沿岸部調査対象者数:586名(岩手 201、宮城 273、福島 112)
 電話確認数:294名(岩手 47、宮城 174、福島 73)
 被災現地確認数:236名(岩手 115、宮城 88、福島 33)
 未確認者の数: 56名(岩手 39、宮城 11、福島 6)
 (うち死亡・不明: 7名…岩手 5、宮城 2、福島 0)

 訪問した避難所:748箇所(岩手 330、宮城 348、福島 70)
 支援していただいたボランティアコーディネーター数:延べ50名
 (うち半数は、日本盲導犬協会の仙台や各地のリハ担当職員)

(2) 視覚障害者の死亡・行方不明者数
 4月時点での調査対象者は、身障手帳保持者数の10数%です。
8割以上の視覚障害者が未調査で、視覚障害者で亡くなられたり 行方不明者になっておられる方は、50以上の可能性があります。 各市町村における障害者手帳所持者の安否についてはほぼ分かって きていると思われますが、発表までにはまだ時間がかかりそうです。

(3) 宮城県における視覚障害者の安否確認について
 安否確認及び支援のための視覚障害者の把握については、 3県の沿岸部の視覚障害者協会会員、点字図書館利用者、盲学校 同窓会名簿などだけでは全体の10数%にすぎないため、 県や市町村に身体障害者手帳所持者リストの開示を求めてきましたが、 個人情報保護による制約のため、一部を除き、実現はしませんでした。
 その中で、宮城県の状況の新聞報道もあって、厚労省と宮城県による 開示への努力が続けられ、5月には、宮城県で県や市町村の係員の 調査に日盲委の支援団体も同行する形で、支援の幅を一定限拡げる ことはできました。しかし、大きな成果とはなりませんでした。

2.新たな取り組みでこれまでにない画期的な広がりに
(1) 宮城県から日盲委の資料を是遠因に配布
 厚労省、及び宮城県への働きかけによって、宮城県下(仙台市を除く) の沿岸部被災地におけるすべての1、2級手帳所持視覚障害者1100人への 日盲委の「支援資料の送付」が6月17日に実現しました。
 これは、配布資料と返信用はがきを対策本部が印刷して提供し、 県からの情報提供として配布していただいたものです。 その反響は予想以上に大きく、何らかの支援を要望される方は8月20日 現在で3分の1以上の、375人にもなりました。被災後3〜5か月になるのに、 これだけもの、支援してほしい、との要望があること自体、多くの 視覚障害者に、いかに支援の手が及んでいなかったのかがわかります。 そして、これらの人々のほとんどが、私たちが把握することができて いなかった、これまで家でひっそりと暮らしておられた、声をあげることも できない、中高年で中途視覚障害者になられた人たちでした。
(2) 宮城県の取り組みの結果
 物品について、最も多い要望は「ラジオ」で、7割以上もの方々が要望 されています。一般のラジオの供給は4月までに終わっているのに、 最も必要なはずの視覚障害者には、ほとんど行き渡っていなかったという、 本当に悲惨な状況を象徴するような結果でした。
 さらに、音声の腕時計・置時計・体温計が5割以上の方から要望があり、 ルーペや白杖も4人に一人が要望されています。それどころか、 「音声時計って何ですか」という問い合わせの電話がどんどんかかってくるなど、 音声の用具があること自体、知らなかったという方が半数もおられることも わかり、日頃の福祉の情報が届いていない実態も明らかになってきました。
 そして、いろいろと記載されていた内容は本当に多岐に及んでいます。 震災後、病状が悪化して入退院をされたり、視力が低下した方もかなりおられ、 死にたいとの悲痛な声すらありました。仮設住宅になっても移動が困難になって 閉じこもたれたり、少しでもましな仮設への優先入居はないのかと嘆かれたり、 様々な手続きができずにおられたり、・・・悲惨とも言える状況がいくつも 書かれていました。
さらに、岩手県でも、7月26日に沿岸部の1・2級の視覚障害者686名に発送が され、8月19日現在で190名もの方々から要望が寄せられています。
 これらの方々を訪問しての支援が不可欠になっていますので、9月中旬から 再び「視覚障害者の相談支援のできる専門支援員」を全国から募っており、 現地を回っていただくることを予定しています。
 今回、私たちが把握できていなかった、4月の活動時の3,4倍もの人数の 被災地の視覚障害者と連絡がとれたことは、この大震災の支援、そして今後の 必要な支援へとつながる、画期的ともいえる成果だと言えます。それだけに、 新たに、これからが正念場ともいえ、どこまで支援ができるかが問われています。 相談支援等に携わっておられるみまさまを中心に、支援にご参加くださることを 切望し、いっそうの募金活動もしていきたいと思います。

 さて、支援については、まずは電話で、ご要望の内容やご住所を確認し、 お送りすることで支援できる低額の物質支援につきましては対応を はじめています。
 しかし、お伺いして、心のケアを含むいろいろなご相談にのったり、 日常生活用具や罹災証明、その他の必要な諸手続きの説明や代行をはじめ、 訪問しての支援が必要なことは言うまでもありません。 そこで、9月半ば過ぎから10月にかけて、特に今回ご支援のお申し出の あった宮城県・岩手県の視覚障害者を、相談にのったり支援に回る活動を 行います。 今回は、本人またはご家族から支援依頼の連絡のあった視覚障害者を 訪問しての支援になります。 ご多忙のところ、まことに申し訳ありませんが、職場その他ご調整が 可能でしたら、みなさまのご支援をぜひお願いいたします。
<日盲委の現地訪問活動スタッフボランティアの募集について>
*募集の要項
日時:2011年9月19日〜10月29日
 1週間を単位として、毎週、月曜日の朝9時すぎに仙台を出発して、  金曜日の18時頃まで現地訪問をしていただくことを原則とします。
 (仙台への移動は前日の日曜日と後日の土曜日にお願いいたします。)
場所:出発・帰着は日本盲導犬協会仙台訓練センター(予定)
行き先:岩手県下、宮城県下の被災地(沿岸部)各地
対象者:視覚障害者の相談支援の経験者で、普通車運転免許保持、  寝袋持参を原則とします。
 (ただし状況により配慮させていただくことがあります。)
日盲委負担経費:(人件費や諸手当は申し訳ありませんが負担できません。)  みなさまの出発地と仙台訓練センターとの往復の公共交通機関経費  及び前泊、後泊の必要な場合の宿泊費。(一般職員用の常識的な範囲)
 なお、当然ですが、視覚障害者訪問の移動経費(レンタカー・ガソリン・高速)、  宿泊費は日盲委負担で、領収書のない車中泊等は1泊3000円とします。
*ご支援のお申し込み・お問い合わせは、日盲委対策本部事務局長
 加藤俊和へ。 e-mail:pxb02164@nifty.com 電話 090-3464-1090
 できるだけ e-mail で、「氏名、所属、住所、メールアドレス、携帯電話、  歩行訓練士等の資格、活動可能な日程、必要な場合の書類内容・送付先等、  その他伝達事項」をお伝えください。希望の日が集中しすぎたり、  その他の理由で、ご希望に添えない場合もございます。ご了承ください。
「活動可能な日程」(実質活動日)はできるだけ次の中からお選びください。
 9月19日(月)9時〜23日(金)18時
 9月26日(月)9時〜30日(金)18時
 10月3日(月)9時〜7日(金)18時
 10月10日(月)9時〜14日(金)18時
 10月17日(月)9時〜21日(金)18時
 10月24日(月)9時〜28日(金)18時

*現地訪問の支援内容について
 ご支援のご要望のあった視覚障害者の自宅、仮設住宅、 その他親戚などの避難先を、原則2人ずつのペアを組んで回り、 本人と面談して、状況をできるだけ把握して、それぞれの方々の必要な ことを伺います。
 もちろん、遠かったりいろいろな都合で、再度訪問することが困難で あったり、再訪できてもかなり先だったりすることも多いと予想されます。 そのため、対応については、できる限りその場で、市町村や支援団体との 連携で解決するように、可能な限り手続きをしたり関係機関への連携を とっていただくことになります。
 なお、時間のかかる様々な片付けをするなどは今回は無理であり、 周辺の支援活動などに結び付けるしかありませんので、 安全靴が必要な作業などはない、と想定しています。 なお、特に岩手県下では宿泊施設が乏しいため、車中泊が必要になることも 予想されますので、寝袋は必要です。
(8月半ばの5か月時点での宿泊可能なところの状況は、 洋野町や宮古市には若干ありましたが、山田町、大槌町、釜石市、 大船渡市、陸前高田市、気仙沼市、女川町、石巻市など、大きい市や町でも ひどい被害のところはまず無理です。そして、被災していない場所の ホテルや民宿は若干利用可能なところがある、という状況です。)

以上です。
大変ご多忙のところとは存じますが、ぜひご検討いただき、 可能なかぎりご協力いただけましたら幸いに存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。


支援コーディネーターの申し込み・お問い合わせ
(できるだけメールでお願いいたします。)
社会福祉法人日本盲人福祉委員会(日盲委)
東日本大震災視覚障害者支援対策本部事務局長 加藤俊和
e-mail:pxb02164@nifty.com  (電話 090-3464-1090)

募金のお願い・お問い合わせ
社会福祉法人日本盲人福祉委員会
事務所:〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2−18−2
電話 03-5291-7885(月−金) Fax:03-5291-7886
e-mail:welblind@nifty.com
HP http://homepage2.nifty.com/welblind/