1.「視機能」に関する用語
[視力《しりょく》]
対象の細部構造を見分ける能力。眼科領域では最小分離閾で表すが、最小可読閾でもかまわない。国際眼科学会では、その測定にランドルト環を用い、識別できる最小視角(分)の逆数をもって視力とする小数視力が採用されている。
<参考>「視力測定法」
視力の測定法には次の4種がある。
- 最小視認閾:視野内に一つの点、あるいは一本の線が存在することを認める閾値
- 最小分離閾:二点または二本の線が分離して見分けられる閾値
- 最小可読閾:文字または複雑な図形を判読または弁別する閾値
- 副尺視力 :直線(または輪郭)のずれを見分ける閾値
[小数視力《しょうすうしりょく》]
識別できる最小視角(分)の逆数によって表された視力。
[分数視力《ぶんすうしりょく》]
検査距離を分子とし、識別できる最小視角が1分の人(小数視力1.0の人)がその視標をかろうじて識別できる距離を分母として表された視力。
[対数視力《たいすうしりょく》]
識別できる最小視角(分)の逆数(小数視力値)の常用対数によって表された視力。間隔尺度に近似する。
[logMAR(minimum angle of resolution)視力《ログマーしりょく》]
識別できる最小視角(分)の常用対数によって表された視力。視標の視角が等比級数(公比は10の10乗根)で作成されたlogMAR視力表では視力値は間隔尺度になっているため、視力を定量的に評価するのに適している。
<補足>視力の数値のあとにlogMARを付けて表現する。例)0.3logMAR
[矯正視力《きょうせいしりょく》と裸眼視力《らがんしりょく》]
矯正視力は屈折異常を矯正して測定した視力であり、裸眼視力は矯正なしで測定した視力である。
<補足>所持眼鏡による視力は必ずしも最善の矯正による最高の視力ではない。
[中心視力《ちゅうしんしりょく》と中心外視力《ちゅうしんがいしりょく》(周辺視力《しゅうへんしりょく》)]
中心視力は中心窩で見たときの視力であり、中心外視力は中心窩以外の部位で見たときの視力である。中心外視力は周辺視力ともいう。
[両眼視力《りょうがんしりょく》と片眼視力《へんがんしりょく》]
両眼視力は両眼を用いて測定した視力であり、片眼視力は非測定眼を遮蔽して一眼で測定した視力である。
[両眼開放視力《りょうがんかいほうしりょく》]
両眼を開放した状態で測定した片眼ずつの視力をいう場合と、「両眼視力」と同じく両眼を用いて測定した視力をいう場合がある。前者の測定には偏光板等を利用する。
<補足>当学会では、両眼を用いて測定した視力は「両眼視力」と表現し、「両眼開放視力」は両眼を開放した状態で測定した片眼ずつの視力の意味で用いることを推奨する。
[遠見視力《えんけんしりょく》と近見視力《きんけんしりょく》]
遠見視力は視標を遠方に置いて測定した視力であり、我が国では5mが基準である。近見視力は視標を近方に置いて測定した視力であり、我が国では30cmが基準である。
[字づまり視力《じづまりしりょく》と字ひとつ視力《じひとつしりょく》]
字づまり視力は標準視力表等のように多数の視標が配置されている視力表を用いて測定した視力で、並列視力ともいう。字ひとつ視力は視標をひとつだけ提示して測定した視力で、単一視力ともいう。
[対比視力《たいひしりょく》]
種々の輝度コントラストの視標を配置した視力表で測定された視力。
[縞視力《しましりょく》]
識別できた縞の幅を視角に換算して求めた視力。縞刺激には正弦波状のものと矩形波状のものがある。空間周波数特性の測定、preferential looking (PL) 法(選択視法,選好注視法)や視運動眼振による視力測定等に用いられる。
<参考>「視運動眼振による視力測定」
眼前で白黒の縞模様を動かし視運動眼振を誘発できた最小の幅の視角、あるいは誘発された視運動眼振を止めることができた最小視標の視角から、視力を求める方法がある。
[夜間視力《やかんしりょく》]
暗順応下で測定された視力。
[動体視力《どうたいしりょく》]
動いている対象を識別する視力。視標が前後方向に動く状態で測定されたものと、振り子のように左右方向に動く状態で測定されたものとがある。
[視野《しや》]
一般的には、一点を固視したままで見ることのできる範囲をいう。正確には視覚の感度分布として表される。
[中心視野《ちゅうしんしや》と周辺視野《しゅうへんしや》]
中心視野は一般的に中心30度以内の視野であり、周辺視野はそれより外側の視野である。
[注視野《ちゅうしや》]
頭部を固定して眼球運動により視標を直接見ることができる範囲。一般的に単眼で測定するが、両眼で測定することもある。
[有効視野《ゆうこうしや》]
注視点とその周辺領域で認知に寄与する部分をいう。視覚情報を検索、弁別、処理ないしは貯蔵しうる注視点とその周辺領域、すなわち、ある与えられた視覚的な仕事を遂行するのに必要な情報を取り入れている範囲を指す。主に心理学分野で使われる用語である。
[視能率《しのうりつ》]
視機能障害について、正常者の機能を100、その機能を失ったものを0として評価したもの。視力、視野、眼球運動について数量化がされていて、総合的な視能率の計算方法も決められている。
[日常視《にちじょうし》]
裸眼または常用の眼鏡あるいはコンタクトレンズによる矯正のもとで両眼を開放した状態での日常生活における見え方のことをいう。「日常生活視力」や「日常生活視野」等として評価する。機能障害(impairment)としての視力や視野の評価とは異なり、能力障害(disability)の観点から視機能を推定、評価するときに用いる。乳幼児や高次機能障害等で視力や視野を機能的に評価できない場合、日常の行動パターンや認識パターンから推定される日常視をもって視機能を評価する。
[最大視認力《さいだいしにんりょく》]
視距離に関わらず、近見試視力視標で識別できる最小の視標とそのときの視距離を示したもので、「最小可読視標」ともいう。被検者の屈折とその矯正、および調節とその補正、ならびに標準検査視距離や単独か否か等、用いる視標の種別については特に考慮されていない。そのため、これは最大の識別力や最小の識別閾を示す「視力」に相当するものではない。主に教育の分野で用いられており、視覚に障害のある児童生徒の読書文字サイズを決める手がかり等に利用されている。
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