3.その他の用語
[弱視《じゃくし》]
「弱視」には「医学的弱視」と「社会的弱視」がある。
「医学的弱視《いがくてきじゃくし》」
乳幼児期の視機能が発達していく過程における視性刺激遮断が原因で、正常な視覚の発達が停止あるいは遅延している状態。
<補足1>斜視弱視、屈折異常弱視、不同視弱視、形態覚遮断弱視に分類される。<補足2>早期に適切な対応をすれば、視機能の向上が可能なことが多い。
「社会的弱視《しゃかいてきじゃくし》」
視覚障害はあるが、主に視覚による日常生活および社会生活が可能である状態。
<補足>このうち、とくに「教育的弱視《きょういくてきじゃくし》」という場合は、「視覚障害はあるが、主に視覚による教育が可能である状態」をいう。文字や事物が見えにくく、学習指導や学校生活の上で視覚の活用に特別な配慮を必要とする。学校教育法施行令第22条の3における盲学校就学手続き上の原則からは、「両眼の視力がおおむね〇・三未満又は視力以外の障害が高度であるが、拡大鏡等を使用すれば文字等を認識することが可能である程度のもの」と解釈される。
<参考1>「社会的盲《しゃかいてきもう》」
視覚障害があるために、主に視覚以外の感覚による日常生活または社会生活を送る状態をいう。<参考2>「教育的盲《きょういくてきもう》」
「視覚障害があるために、主に視覚以外の感覚による教育をすべき状態」をいう。学校教育法施行令第22条の3における盲学校就学手続き上の原則では、「盲者《もうしゃ》」として、「両眼の視力がおおむね〇・三未満又は視力以外の障害が高度なもので、拡大鏡等を使用しても文字等を認識することが不可能又は著しく困難な程度のもの」とされている。なお、「盲者」は一般にはあまり使われない用語であるが、法律用語としては変更されずに用いられているものである。
[現職《げんしょく》]
現在従事している職務(職業)。ただし、職を離れていても、病気休暇や年次休暇等のように、休暇取得後の就労継続が身分的に保障されている場合にも該当する。
[原職《げんしょく》]
かつて従事していた元の職務(職業)。休職(休暇と違い長期にわたり連続して職を休むこと)、解雇、配置転換等により職を離れた場合に該当する。このような場合に元の職務(職業)に戻ることを「原職復帰《げんしょくふっき》(復職《ふくしょく》)」という。
[優位眼《ゆういがん》]
両眼の視力がほぼ等しい者が両眼視する場合、漠然と背景を捉える側の眼に対して、対象物に視線を合わせて凝視する側の眼をいう。一般には利き眼(目)と同義語として用いられ、どちらか片方の眼を使うことを求められた場合に無意識に用いる側の眼にあたる。
<補足>視機能が良い側の眼が優位眼になる、ということではない。優位眼は視機能の変化によって変わりうるが、常に視機能が良い側の眼であるわけではない。
[偏心視《へんしんし》]
中心暗点等により、中心小窩(中心小窩)以外の相対的に感度の高い網膜部位で見ているが、中心窩がその主視方向を維持している状態をいう。
(英語の eccentric viewing , eccentric vision に対応する。)
<補足>偏心視する場合に使われる網膜領域をさすpreferred retinal locusに対応する日本語訳は現在ない。このため、当学会では「偏心視領域《へんしんしりょういき》」と呼称することを提案する。
<参考1>「中心固視《ちゅうしんこし》(中心窩固視《ちゅうしんかこし》)」
中心窩で固視が行われ、中心窩が主視方向をもつ単眼性の状態をいい、英語のcentral fixationに対応する。
<参考2>「偏心固視《へんしんこし》・中心外固視《ちゅうしんがいこし》」
斜視等により、中心窩以外の網膜部位で固視が行われ、この部位が主視方向をもつ単眼性の状態をいい、英語のeccentric fixationに対応する。これは斜視眼が固定された恒常性斜視にみられ、固視眼の中心窩との対応関係を獲得することで固視点となり、主視方向を持つようになったものである。
<補足1>「主視方向《しゅしほうこう》」とは、主観的に真正面と感じる部位で見たときの視方向をいい、通常は中心窩で見たときの方向がそれにあたる。視覚科学の分野では、主視方向を両眼視の場合と単眼視の場合を分けて定義することがあるが、ここでは眼科の固視検査にしたがって単眼視の場合とし、通常では中心窩の視方向に一致するとした。
<補足2>固視の状態については、眼科で行われる固視検査に準じて分類する。すなわち、非検査眼を遮蔽した状態で検査眼に固視目標を投影し、それを網膜のどこで捉えるかによって定義するが、中心窩以外の点あるいは領域で捉えるもののうち、中心暗点等のように主視方向が中心窩に残っているものは「偏心視」とし、斜視等によりその点が主視方向をもつ「偏心固視または中心外固視」とは区別する。
[羞明《しゅうめい》]
光が強くて不快に感じたり見えにくい状態となる「まぶしさ」を医学的に症状として表現する場合にこれを羞明という。羞明は正常者においても病的状態においても生じうるものであり、正常者においてはグレアが、病的状態においてはグレアおよびグレア以外の機序が、羞明の原因となる。
<補足1>グレア以外の機序により羞明を生じうる病態として、眼球表面疾患、眼内の炎症性疾患、網膜・脈絡膜疾患、視神経疾患、緑内障、中枢性疾患、精神疾患等がある。[グレア]
<補足2>「狭義の羞明」として、「三叉神経第一枝の病的な知覚刺激によって反射性に虹彩の血管拡張を生じ、これに光刺激が加わることにより縮瞳に痛みを伴うもの」と定義するものもある。
過剰な輝度または過剰な輝度対比のために不快感または視機能低下を生じる現象。「不快グレア」と「障害グレア(減能グレア)」に分類されるが、これらは正常者と視機能になんらかの異常を有する者とのいずれにも生じることがあり、それぞれ羞明の要因として関与する。
<参考>「不快グレア《ふかいグレア》」と「障害グレア《しょうがいグレア》(減能グレア《げんのうグレア》)」
「不快グレア」は、視野内で隣接する部分の輝度差が著しい場合や、眼に入射する光量が急激に増した時に不快を感じる状態であり、一方、「障害グレア(減能グレア)」の代表的なものはヴェールグレアであり、眼組織において生じる散乱光により網膜像のコントラストが低下し視力低下を来す状態をいう。また、光沢のある印刷面における反射光のために印字が読み難い場合などのような反射グレアも障害グレア(減能グレア)の一種である。これらが同時に生じることもある。
[輝度対比《きどたいひ》(輝度コントラスト《きどコントラスト》)]
光の強度分布が異なる物体または像の明暗の相違を表す量の一つ。単に「コントラスト」という場合はこれを指す。
<補足>一般的に、コントラスト(輝度比)Cは、 C = (Imax - Imin) / (Imax + Imin)[色差《しきさ》]
(ただし、Imax : 光の強度の最大値, Imin : 光の強度の最小値)で表される。
2色がどれだけ異なって見えるかという観測者の知覚する心理量で、均等色空間内の2色間の距離を、色相、明度、彩度の三属性表示に対応した差として表示するもの。
<補足>当学会で色の違いの度合いを問題にする際に、「色対比(色コントラスト)」(下記参照)という用語を用いるのは適当でなく、「色差」を用いるのが適当である。
<参考>「色対比《いろたいひ》(色コントラスト《いろコントラスト》)」
色対比(色コントラスト)は、テスト領域の色が近接する誘導領域の色と相互に影響し、その相違が強調されて知覚される効果、すなわち、ある領域の色がその周囲の色によって異なって知覚される現象をいう。通常、誘導領域の補色がテスト領域に観察される(周囲光の補色があらわれる)ことを指す。
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